- 10月
- 2024年11月
この記事を読んでまず感じたことは、今のニュースメディアの苦しさでした。特にオンラインメディアの場合、紙面に限りが無いために世の中に溢れている情報を幅広く網羅していくことが要求されます。他メディアで記事化されていることが自社メディアでされていないということがページ閲覧数の差に出てきてしまうと致命的です。しかし、広告収入だけではなかなか成り立たないオンラインメディアでは、取材する記者のコストは切り詰められているので、ひとつの記事にそれほど時間をかけていけるわけでもなく、なかなか精査することもできないまま企業側のリリースを掲載していくという「作業」になってしまいがちなのではないかと思います。
現在のオンラインメディアのページビュー状況や営業収支がどうなっているのかを調べたことはないのですが、想像するに、このような状況下で運営していくとユーザーはそのメディアの特長というものを認識できないために、ニュースまとめサイトなどを眺めていれば良いということになり、サイトの滞在時間などはとても短くなる傾向になるのではないでしょうか。企業からのリリースやリサーチ会社の統計発表を垂れ流すだけでは、一般のブロガーと情報が変わらないので、その分野においては体系的にまとめられているブログよりも内容が薄いと感じるようになるのではないでしょうか。そうすると、メディアの役割とはなんだろうか、意義とは何だろうかと考えていくと、やはりニュースの掲載ではなく、取材に基づいた深い考察のある記事が必要なのではないでしょうか。Yahoo!が始めている「個人」というカテゴリーなどはその一環なのではないかと思います。
話を最初に戻して、今回のような投資詐欺の話を掲載してしまったメディアに責任はあるのか、ということですが、現在のオンラインメディアにおいてはこれの責任を負うことはできないと思います。ニュースをニュースとしてプレスリリースのまま掲載することと、メディアとして取材記事なり契約ライターの記事を編集部が構成して掲載する場合とでは責任の度合いを分ける必要があると思います。もちろん編集部の方である程度は選別すべきと思いますが、企業がリリース出したということを事実としてニュースソースを明らかにした上で掲載すること自体には責任を問うのは酷すぎると考えるからです。
同業他社が同じ会見場にいたので、1社だけネタを落とす”特オチ”扱いとならないよう、怪しい商品を紹介する提灯記事は書けないと説明し、納得させたわけだ。
この記事の中でも触れられている上記の1文は象徴的で、ニュースサイトを自負しているメディアほど、「特オチ」を非常に嫌うわけです。この記事ではしっかりと考えてボツにしてその理由も明らかにしていますが、日々の溢れかえる情報を整理する中ではなかなか難しいのではないでしょうか。
広告掲載については少しスタンスが異なり、企業のメッセージとして配信するわけですから、ある程度そこに妥当性を見いだす必要があるのかなと思っています。これはメディア側も気をつけないとユーザーからの反発を受けかねません。ただし、今回のような投資案件などは当初から詐欺だと簡単に分かるくらいならば引っかかる人もいないわけで、巧妙に仕組まれている場合にはなかなか広告掲載の際に見抜くというのは難しいのかなとも思います。
少し同情的な書き方になりましたが、我々読む側としても、信頼できるソースからの取材に基づいた記事なのか否かというのを考えながらニュースに接していく必要があります。メディア自身を信じるのではなく、誰が書いたか、が大事になってくるのかなとも思います。だからこそ、書き手から直接受け取るメールマガジンというのが最近流行ってきているのかもしれません。私もメールマガジンを購読していますが、書き手からの直接の情報は、なんのバイアスもかけられずにそのまま届きますし、ニュースの裏側などにも触れられるのもあり、有料だからということもあってかものすごく一生懸命読みます。書き手の方も、自分の名前の元に自分で配信する(システムは借りているにせよ)わけですから、自分との勝負にもなりますから、他のライターの方を見ても、メールマガジンにはかなりのリソースを割いているように見えます。
一時期は終わったといわれていたブログもまた盛んになってきたようですし、今後はこういう風に「どこに掲載された」のではなく「誰が書いたのか」、ということを拠り所に記事の信頼性を計るようになるのかもしれません。
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このブログを書いたスタッフ
プレジデント
ほっしぃ
音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。
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